アパート経営において、中古物件はリスクが高いとの記事を目にしますが、これって本当に正しいのでしょうか?
スモールスタートでミニマムリスクで述べたように、新築に比べて中古物件の方が損失を被るリスクは限定的になりますが、中古物件で成功するためにはもう一工夫必要です。
それは、物件の競争力の強化です。
賃貸物件の競争力は何もしないと築年数と共に低下し、家賃が低下し空室率が上昇する負のスパイラルに陥ります。これは、お客様(=賃貸物件を探す人)に選んでもらえない為であり、物件に魅力が無いために生じます。このような状態になると、アパート経営としては早晩失敗することになります。
では、アパート経営に失敗しない為には何が必要でしょうか?
答えは簡単で、お客様に選んでもらえる「魅力」を持たせるのです。
あなたが部屋を選ぶ立場だったら、どのような物件に魅力を感じますか?そこをイメージして、自分だったらこんな部屋を選ぶ、という部屋にすれば良いのです。
物件の特徴と対策
ここでは、しのっぴ大家が実際に行った対策について具体的に説明します。まず、シングル向け物件とファミリー向け物件では共通してやる事と、それぞれの特徴にあった対策があります。
シングル向け物件とファミリー向け物件の共通の対策として、古く汚れたクロスはそれだけで印象ダウンなので、クロスは基本的に張り替えます。
次に、築20年も経つと床もだいぶ傷んでくるので、基本的に上張りします。ただし、得られる家賃によってかけるコストも変わるので、シングル向け物件はコスト重視でフロアタイル、ファミリー向け物件は仕上がり重視でUSUI-TA(旧WPBリフォームフロア―)を選択します。
次から個別の対策となります。
シングル向け物件の対策
シングル向け物件は、単身者がすぐに入居できるようにエアコン以外にもテレビ、冷蔵庫、電子レンジなどの家電を設置しました。
家電付の部屋は意外と好評で、引っ越しにお金がかかるために家電を買いそろえるのはちょっと、、、という層にマッチした戦略です。
また、家電付であると会社や派遣業者さんから「寮」として契約してもらえたり、新入社員の方が選びやすいなどのメリットがあります。
気になる費用ですが、冷蔵庫、電子レンジ、32インチのテレビで6万円程度なので、さほど大きな負担とはなりません。また、テレビは壁付けにする事で部屋を圧迫することが無く、すっきりした部屋になります。
シングル向け物件は、キッチンやお風呂、トイレはどこも同じようなものなので、壁・床が新しくて家電付という点でお客様へのアピールが可能です。
ファミリー向け物件の対策
ファミリー向け物件は、気に入ってもらえるとかなり長期間の入居が期待できます。実際、しのっぴ大家が所有するファミリー向け物件は10年以上住んでいる世帯がいくつもあり、短くても3~5年程度の入居期間となっています。
その反面、ファミリー向け物件が動く期間は限られているため、その期間に入居を決められなかった場合には長期間空室が続くリスクがあります。
このため、ある程度のコストをかけても気持ち良く住んでもらえるようにリフォームすることが必要で、クロス張替えは当然のこととして、床も上質なUSUI-TAで上張りします。
そして、状態によってはキッチンを入れ替えたり、お風呂も入れ替えます。また、場合によっては和室を洋室に変える等のリノベーションを実施します。
一例として、キッチンを入れ替え、和室を洋室に変更した部屋を紹介します。この部屋は築30年ですが、リフォームしたことによって競争力が向上した事が分かると思います。
肝心の費用ですが、しのっぴ大家が所有するファミリー物件は3LDKと広いため、クロスの全面張替えとUSUI-TA上張りで50万円以上かかります。これに設備の入れ替えが生じるので、その分、費用は上乗せされます。
このため、場合によっては200万~300万円の費用負担になりますが、しのっぴ大家は以下のように考えています。
設備交換の基本的な考え方
例えば、マイホームでも築20年~30年でお風呂の入れ替えやキッチンの交換を考えます。これは古くなったり機能が不十分であったり等の理由によります。賃貸物件もこれと同じです。
例えば、賃貸物件の寿命(入居者さんが入居してくれる年月)を40年とすると、40年の間に1回は大きな設備交換が必要です。このため、寿命の半分を過ぎたら思い切って大規模リフォームを行い、競争力を維持・向上するという考えです。
大規模リフォームを行う事によって、築古であってもお風呂が広くて新品であったり、キッチンが新しければ大きな競争力アップにつながります。お客様が見学にいらした際「おっ!キッチンが綺麗!!」とか「お風呂が広い」という印象を持ってもらえれば、かなりの確率で入居が決まります。
このような物件は長期間住んでもらえる事が可能な上、退去したとしても次が決まりやすくなります。
資金回収は可能か?
アパート経営の理想は入居者さんには長期間住んでもらう事であり、退去があったとしてもすぐに次の入居者さんが見つかる事です。
このためフルリフォームに仮に300万円かかっても、長期的にはこの額は回収可能なケースが多いと感じています。これは、築古物件であってもフルリフォームすることにより競争力が向上し、空室期間の短縮が見込めるからです。そして、家賃アップも狙えます。
ただし、物件の残存期間(賃貸物件として貸し出し可能な期間)と相談が必要で、残存期間が短いケースでフルリフォームすると費用回収が難しくなります。
しのっぴ大家が所有するファミリー向け物件は今年で築30年なので、残存期間は長くてもあと20年と見積もりました。そこで、フルリフォームするなら今が最後のタイミングだと判断して、空いた部屋をフルリフォームしました。
退去が決まった時点で他のフルリフォーム済みの部屋の写真で入居募集したところ、まだ解体しただけの段階で入居者さんが決まりました。しかも、10年以上住んでいた前入居者さんの家賃よりも1000円ですが高い家賃での契約となりました。
このような例は少し特殊かも知れませんが、リフォームが終わると同時に次の入居者さんが入り、家賃アップにもつながった事は事実なのです。
中古物件の勝利の方程式
中古物件は安く変えて利回りが高いというアドバンテージがある一方、「古い」というディスアドバンテージがあります。しかし、古さはリフォームにより解消可能です。
しのっぴ大家が経験から導きだした中古物件の勝利の方程式は「高利回りの物件を自己資金を厚くして購入し、ローン返済後の残ったお金で大胆なリフォームをして競争力を維持・向上させる」です。
これが出来れば、中古物件で成功できると思います。