シングル向け物件とファミリー向け物件、どちらが良いのか?

賃貸物件を購入する際、迷う要素はいくつかあります。

一つは、新築か中古か?

そしてもう一つはシングル向け物件かファミリー向け物件か?ではないでしょうか。

不動産は同じものがないため、単純な比較はできません。

また、シングル向け、ファミリー向けそれぞれに良いと点そうでない点があります。

しのっぴ大家はシングル向け、ファミリー向け両方を所有していたので、入居率や入居期間等を実際のデータをもとに比較していきます。

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入居率の比較

シングル向け物件の入居率

まず、最初に購入したシングル向け物件の入居率の推移を下図に示します。
この物件は少し特殊で、しのっぴ大家が中古で購入した際は人材派遣業者さんの「寮」として数多くの部屋が契約されていました。

このため、人の入れ替わりはありましたが契約としてはずっと続くという状況でした。
しかし、2015年に労働者派遣法の改正があり、企業は3年を超えて派遣労働者を受け入れる事ができなくなりました。
これを機に企業の派遣切りが始まり、そのあおりを受けて派遣業者さんによる契約解除が始まりました。

このため一時期は40%まで入居率が落ち込みましたがその後挽回し、そのタイミングで売却。
所有していた9年間の平均入居率は85.1%とまずまずの数字でした。

シングル向け物件の入居率を示したグラフ。

ファミリー向け物件の入居率

つづいて、現在も所有しているファミリー向け物件の入居率の推移を下図に示します。

中古で購入した際は2部屋空いていました。当時は既に上記のシングル向け物件を所有していたので、シングル向け物件はどの程度リフォームすれば良いか?の感覚を持っていましたが、ファミリー向け物件はどのような戦略で客付けするのか?少し悩む事もありました。

このため、入居が決まらない期間が若干続きましたが方針を決めてリフォームしたとこころ、空室が埋まり入居率は上がっていきました。

一方、数としては少ないですが退去もあり、空室期間が長い時もありました(ファミリー向け物件は入居が決まる時期が限定的な事もあり、その時期を逃すと入居が決まり難いです)。

この物件の現在までの12年間の平均入居率は87.5%となっており、シングル向け物件とほぼ同じ~若干高い入居率となっています。

両者の物件はいずれも築20年以上の物件で同じようなエリアにあるため、入居率を直接比較しても良いのではないかと思っていますが、数字を見る限り、両者で大きな差はないと判断できます。

ファミリー向け物件の入居率を示したグラフ。

平均入居期間の比較

次に平均入居期間を見ていきます(右図参照)。

賃貸物件の理想は一度入居したら長く住んでもらう事ですが、シングル向け物件の平均入居期間は3.53年、ファミリー向け物件の平均入居期間は7.33年でした。

この平均入居期間はしのっぴ大家が物件を購入した時を起点としています。

例えば、ファミリー向け物件は所有して12年になりますが、購入する前からずっと住んでいる方もいます(←ありがたい事です)。

シングル向け物件とファミリー向け物件の平均入居年数を比較したグラフ。

このような方も入居期間を12年として計算しているため、7.3年という数字は実際の入居期間よりも短めに出ています。

平均入居期間が短い=退去が頻繁にあると、そのたびにクリーニングやリフォーム、そして不動産屋への広告費が発生します。このため、アパート経営としては好ましくない状況です。

以上の事から、入居期間という観点ではファミリー向け物件の方が良いと言えます。

表面利回りの比較

一般的にシングル向け物件は利回りが高く、ファミリー向け物件の方が利回りが低いと言われています。

例えば、同じ大きさの土地に建ぺい率いっぱいの賃貸物件を建てたとします。単純に、ファミリー向け物件の部屋の広さがシングル向け物件の2倍の面積だとすると、ファミリー向け物件の戸数はシングル向け物件の1/2になります。

一方、ファミリー向け物件の家賃がシングル向け物件の2倍に出来るか?というとそのような事はないため、家賃収入という観点ではシングル向け物件の方が有利となります。

実際にどうだったか?というと、しのっぴ大家が所有していたシングル向け物件の表面利回りは購入時で15%、ファミリー向け物件は12.4%だったので、やはりシングル向け物件の方が利回りは高かったです。

しかし、賃貸物件には家賃下落があります。シングル向け物件は競合が多いために家賃が下落し、購入時の価格で利回りを算出すると13.1%程度となっていました。

一方、ファミリー向け物件は12年経ってもほとんど家賃は下がっておらず、現在の家賃と購入価格で算出する利回りは12.2%でシングル向け物件との差は縮まっています。

余談ですが、しのっぴ大家は物件は築30年以上経っています。正直なところ、このような築古物件で入居が決まるのかな?とアパート経営を始めた時は思っていました。

しかし、ファミリー向け物件の平均入居率は想定していた以上の好成績です。失敗しない物件選びで書いたように物件をきちんと選び、こまめにリフォームしてきた結果がこの好成績につながっていると実感しています。

高利回りのファミリー物件は大きな含み益を有する時もある

中古物件の売買では表面利回りは重要なポイントなので、同じ利回りであればファミリー向け物件の方が「得」であるとしのっぴ大家は考えています。

上記の利回りの比較では同じ大きさの土地に賃貸物件を建てた例を示しましたが、同じ利回りで考えるとファミリー向け物件の方が土地・建物は大きくなります。本来、土地値で売れるはずの物件が、何らかの理由で売却を急ぐ場合、利回りを重視して土地値を割り込んだ価格になる事も珍しくありません

このような物件は購入した時点で含み益があるため、賃貸経営で失敗しても損失を被るリスクは最小化できます。また、銀行にとっては担保価値が高くなるために、融資を受けやすい物件であると言えます。

一例を挙げると、しのっぴ大家が所有するファミリー向け物件は土地値だけで10000万円前後の価値がありましたが、売主さんは売り急いでいたため7000万円で売りに出しました(表面利回り11.4%)。

契約書は一言一句目を通して作り込むでも書きましたが、契約書をきちんと作り込んだおかげで最終的には大幅な値引きに成功しましたので、購入時点で3500万円以上の含み益を得ました。

このように、表面利回りが高ければファミリー向け物件には大きな含み益が隠れている場合があるので、土地値に対していくらなのか?という観点でチェックすると良いと思います(シングル向け物件にもこのようなケースはあると思うので要チェックです)。

まとめ

シングル向け物件とファミリー向け物件の入居率、平均入居期間、表面利回りをまとめた表。

これまでシングル向け物件とファミリー向け物件を比較してきたので、まとめを上に示します。利回りではシングル向け物件に軍配が上がります。しかし、シングル向け物件は入居期間が短いためにやる事が多くなり、次に入居してもらうためのコストがかかります。

一方、ファミリー向け物件は入居期間が長いために安定したアパート経営が狙え、高利回りの中古物件は土地値に近い、あるいは土地値以下で買える事もあります。

以上のように、シングル向け物件、ファミリー向け物件ともに良いところとそうでないところがあり、一概にどちらが良いとは言えません。

しかし、コロナ禍におては+1ルームという考えが広がっているため、ファミリー向け物件の引き合いは強いです。このような事から、現在ではファミリー向け物件の方が良いと思っています。

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