ルーフバルコニーにウッドデッキやパーゴラがあったらとても楽しいですよね。
屋上のルーフバルコニーに見晴らしの良いウッドデッキがあり、そこでバーベキューをしたりハンモックに揺られてのんびり過ごしたり…。
夢が広がる一方、ルーフバルコニー特有の問題もあります。
ウッドデッキを地面の上に作る場合と違い、ルーフバルコニー上では風の影響が強くなるうえに束石を地中に埋めることでもできません。
また、ルーフバルコニーはシート防水などで防水を施してあります。
このため、束石の固定用にアンカーを打つと防水が破れ、雨漏りのリスクも高まります。
今回はルーフバルコニーにウッドデッキやパーゴラを作りたいけど、雨漏りもしたくないという思いを両立した方法を紹介していきます。
ウッドデッキ&パーゴラの設計方針
アンカーを打たずに強風に耐えるウッドデッキ&パーゴラをどのように作るのか?
ここが最大の難問です。
色々な業者さんにヒアリングしたところ、回答は以下の2パターンに集約されました。
質問:アンカーを打ってウッドデッキを作った場合、雨漏りは大丈夫ですか?
<業者さんからの回答>
・アンカーを打っても雨漏りはしないと「思います」
・アンカーを打って雨漏りしないか「保障は出来ません」
要は、アンカーを打つことで雨漏りするのか?しないのか?分からない、ということです。
ルーフバルコニーにウッドデッキやパーゴラを作るのであれば、アンカーを打たない方法を考える必要がある、ということが分かりました。
参考になった太陽光パネルの工法
アンカーを打たない方法で参考にしたのが太陽光パネルの置き基礎工法です。
これは陸屋根に太陽光パネルを設置する方法の一つで、アンカーを打たずに縁石ブロック用います。
ここで気になるのが「太陽光パネルは風で飛ばされないのか?」です。
さっそく電話で置き基礎工法をしている会社に問い合わせました。
<置き基礎工法の会社からの回答>
・正面から風を受けた場合、下に押さえつけられる力が加わるために強い風でも飛んでいかない
・パネルの裏面から風を受けた場合、持ち上げる力が加わるため飛ばされる可能性がある
・このためパネルの裏側に縁石ブロックを置いて風が入らないようにして、パネルを固定している
なるほど、言われてみればその通りです!
一番のポイントは風で巻き上げられないように、風が入らないようにすること。
これって、ウッドデッキ作りにも同じ考えが適用できるのでは?と考えました。
ウッドデッキの風対策
太陽光パネルの置き基礎工法のポイントは以下の2点です。
- 風が入り込まない構造とすること
- 縁石ブロックの重量を利用すること
この2点を踏まえた上で、ウッドデッキの風対策を具体的に決めていきます。
化粧板による風の入り込み防止
風の入り込み防止は、ルーフバルコニーの立ち上がりと壁を利用して3方からの風をブロックします。
残りの1面は化粧板を張り付けることによって風が入り込まないようにします(下写真参照)。
このように、低床のウッドデッキにすることで既存の建造物を活かしつつ、簡単に風対策が行えます。
(あくまでも個人の判断です)

重量による押さえつけ
つぎに、突風や強風で飛ばされないようにするため、更なる対策を考えました。
それは、大きなウッドデッキにして全体の重量を重くし、飛ばされないようにするということです。
重たいもの=吹き飛ばされないという単純な発想です(笑)。
また、ウッドデッキがルーフバルコニーにピッタリはまる大きさにすれば、ずれることもないだろう、との思いもあります。
ちなみに、今回のウッドデッキとパーゴラは木材の重量で1トン以上あります。
これだけの重量物であれば、簡単には吹き飛びません。
陸屋根の積載荷重は大丈夫?
重量級の物量で押さえつけることで強風対策としましたが、一つ確認すべきポイントがあります。
それは、陸屋根の最大積載荷重です。
最大積載荷重とは、屋根の上にどれくらいの重量物を置いても大丈夫なのか?という指標です。
ここでも太陽光パネルの設置検討が役に立ちました。
過去に太陽光パネルを設置しようとしたことがあり、その際、業者さんに建物の設計図面を渡して積載荷重を確認してもらいました。
その時の回答と比較して今回の重量はずっと軽いため、問題ないと判断しました。
・最大積載荷重よりも重たい構造物を作ることはやめましょう
・最悪の場合、屋根が陥没して建物が壊れる恐れがあります
以上、風対策は低床+化粧板で風の入り込みを防ぎ、重量により押さえつけることにしました。
その結果、ルーフバルコニーへのアンカー打ちは不要という判断をしました。
設置場所とウッドデッキの工法について
風対策と雨漏り対策の両立はできそうなので、そのコンセプトをどのように実現していくか?がつぎのポイントとなります。
まずは設置場所をしっかり確認して、どのように作るのか?を決めていきます。
設置場所
ウッドデッキの設置場所は約5m×13mのルーフバルコニーです(下写真参照)。
ここは日当たりも眺望も良いため、ウッドデッキには最適の場所です。
ルーフバルコニーにウッドデッキを作ってしまうとシート防水の保護塗装ができなくなってしまうため、ウッドデッキ作りの前にシート防水の保護塗装をDIYで済ませています。
ここに、約5m×7mの大きなウッドデッキとパーゴラを作っていきます。

ウッドデッキの工法
ウッドデッキの工法には大引き工法、サンドイッチ工法等、何種類かあります(具体的な工法についてはこちらのサイト参照)。
しかし今回は低床のため、束石の上に根太を置き、その上に床板を張り付けることとしました。
低床にこだわる理由は上記の風対策とともに、法令対策という側面もあります。
サンドイッチ工法等ではどうしても床面が高くなってしまうため、法令順守という観点でもこの方法しかありませんでした。
土台の施工
ウッドデッキ&パーゴラの設計方針と工法を決めたので、ここからは実際の作業に移ります。
全体の作業の流れは以下の通りです。
- 束石の設置
- 根太張り
- パーゴラの小屋組み作り
- ウッドデッキの床板張り
まずは束石の設置です。
束石はマルチポストを利用
束石には通常、ピンコロや羽子板付き束石が使用されるようですが、今回はマルチポストを利用することにしました。
ルーフバルコニーはコンクリートの上に防水シートが施されているため、基礎が沈み込む心配がありません。
一方、ルーフバルコニーには水捌けのために微妙な傾斜があり、束の高さを少しづつ変更する必要があります。
そこで用いたのがマルチポストです。
このマルチポストは非常に優れもので、ネジ方式になっていて高さ調整が可能です。
さらに、複数種の高さのものが売っているために、うねった床面であっても正確に水平出しができます。

実際の作業としては、マルチポストを設置する場所にマーキングします。
そこにウレタン系の接着剤を塗ってその上にマルチポストを置くだけです。
作業としては非常に簡単!
そして、マルチポストの高さを個々に調整して水平出しの完了です(写真参照)。
根太張り
つぎは根太張りです。
根太には45mm×70mmのイタウバを使用し、600mmの間隔で根太を張りました。
根太の上からマルチポストに向かってビス打ちをして根太とマルチポストを接合させます。
作業としては簡単な作業で、根太を張ることでいよいよウッドデッキぽくなってきました。
以上、ウッドデッキ&パーゴラの風対策と雨漏り対策を両立する方法を考え、低床ウッドデッキの根太張りまで説明してきました。
根太張りの次はいよいよパーゴラの小屋組み作りとウッドデッキの床板張りです。
この作業については、DIYでルーフバルコニーに巨大ウッドデッキ&パーゴラを作る:後編を参照してください。
