不動産投資物件のオーナーの中には「自分の物件に住むことは出来るのかな?」「自分が物件に住んでも大丈夫なのかな?」と思ったことがあるかも知れません。
自分が住むことにより空室があればそこを有効活用できる反面、投資物件なので収益が減少するなど、一長一短です。
しかしこの話、投資物件の収益性という観点だけでなく、不動産賃貸業として成立しているのか?という観点でみていくと、住んでも良いケースとダメなケースがはっきりしてきます。
しのっぴ大家は所有する物件の1室に住んでいたので、実体験を通じて感じたことや注意点を紹介しようと思います。
<この記事で分かること>
・所有する不動産投資物件に住んでも良いケース、住んではダメなケースについて
・投資物件の1室に住むことの注意点について
・金融機関への対応について
この記事を読めば不動産投資物件に住む方が良いのか否か?が分かるようになるので、是非最後まで読んでくださいね!
不動産投資物件に住んでも良いケース、住んではダメなケース
ここからは、不動産投資物件に住んでも良いケースと、ダメなケースについて解説していきます。
まずは、所有する投資物件にオーナーが住むことを検討するのは主に次の3パターンだと思います。
- 物件の立地が良いので、そこに住んでみたいと思うケース
- 1棟アパートの空室が多く、空き部屋対策に困っているケース
- マンション投資でずっと部屋が埋まらないケース
どのケースが物件に住んでも良くて、
どのケースだと住んではダメなんだろう?
具体的に説明していきますね。
不動産投資物件に住んでも良いケース
不動産投資物件に住んでも良いケースは、賃貸経営は順調で「物件の立地が良いので、そこに住んでみたいと思う」場合です。
そして、持ち家がなく転勤がある、もしくは将来転勤の可能性があるサラリーマン大家さんはピッタリこのケースに当てはまります。
なんで?
転勤があるとマイホームは持ちにくいですよね。
そうなると賃貸に住むことになるのですが、所有物件に住む方がメリットが大きいからです。
不動産投資の目的は収益を上げることなので、所有する物件に住むと収益は減ってしまいます。しかし、持ち家ではないオーナーが他の賃貸物件に住むと、そこには「賃料」が発生します。
自宅用として支払う賃料が投資物件からの収益とほぼ同等、もしくは高いのであれば、所有する物件に住んだ方が経済的です。
また、賃料以外にも以下のようなメリットがあります。
- 細かなところに気が付きやすく、DIYで対処できる
- 入居者さんからのクレームに素早く対処できる
- 部屋を自由にリフォーム/リノベーションできる
しのっぴ大家は実際に所有する物件に住んでいましたが、住むと色々細かいところに気が付き、小さな補修等であればDIYで対処することができます。
また、給湯器の具合が悪いなどの困り事なども耳にすることがあり、素早く対処してあげると入居者さんからは喜ばれ、結果的に長く住んでもらえることにつながります。
さらに、これは一番のメリットだと思っていますが、所有物件であれば住む部屋を自由にリフォームやリノベーションして快適に過ごすことができます。
自宅用にリノベーションした詳細はこちらの記事を参照にしてください。
不動産投資物件に住んではダメなケース
次に、不動産投資物件に住んではダメなケースは「1棟アパートの空室が多く、空き部屋対策に困っている場合」と「マンション投資でずっと部屋が埋まらない場合」です。
すなわち、空室がずっと続き、「空室が埋まらないからオーナーが住む」というのはNGです。
この考えって、事業とし成立してないですよね。
自分で補填する前に事業として成立させるべく、対策することが必要です。
どうしても事業として成り立たないのであれば、物件を売って撤退するのも一つの出口です。
投資物件の1室に住むことの注意点について
つづいて、投資物件の1室に住むことの注意点について説明していきます。
前提として、自己居住分と賃貸部分は専有割合に応じて分けて考える必要があります。
例えば、共益費(外廊下の電気代や給水ポンプの電気代)は専有割合に応じて自己居住分は自己負担、賃貸部分は経費計上となります(下図参照)。
次に減価償却ですが、賃貸部分は減価償却可能です。一方、自己居住分の減価償却は経費計上できませんが、帳簿上は減価償却が進みます。
また、賃貸部分と自己居住部分では耐用年数と減価償却方法が異なるので注意が必要です。詳しくはこちらのサイト(外部)を参照して下さい。
<自己入居部分の減価償却>
- 耐用年数は賃貸部分の耐用年数×1.5倍(端数は切り捨て)
- 償却額の算出は「旧定額法」で行う
自己入居部分は耐用年数が長くなるため、帳簿上の簿価が多く残ります。
再度貸し出す場合には自己居住部分の簿価をきちんと算出し、事業用として減価償却します。
金融機関への対応について
最後に金融機関への対応について説明します。
投資物件を購入する際、ほとんどの人は金融機関から融資を受けると思います。不動産投資の場合、アパートローンが多いはずです。
ここで問題になるのが、アパートローンの資金使途は「賃貸住宅の新築・購入・増改築資金等」となっている点です。
何が問題なの?
アパートローンは賃貸住宅向けの融資なので、自宅用には使えないんです。
違反すると、「資金使途違反」となる可能性があります。
このように書くと、「ローンが残っている間は、賃貸物件に住めないの??」と思われるかも知れませんが、決してそのようなことはありません!
一番確実なのは、ローンを組む際に「今度購入する物件に住む可能性があります」ときちんと伝えることです。しのっぴ大家はこのパターンでした。
それ以外では、自分が住みたいと思ったタイミングで金融機関に相談しましょう。余程のことが無ければ、断られることはまずないでしょう。
金融機関と相談の結果、投資物件に住むのであれば資金使途違反となることもありません。
無断で勝手に所有物件に住むのはNG!
余計なトラブルを避けるためにも、金融機関との相談は必須です!!
まとめ
この記事では、所有する不動産投資物件にオーナーが住むことについて、以下のポイントを説明してきました。
- 投資物件に住んでも良いケース、住んではダメなケースについて
- 投資物件の1室に住むことの注意点について
- 金融機関への対応について
収益性だけでなく、不動産賃貸業として成立しているのか?という観点でみていくと、所有する物件に住んでも良いケースとダメなケースがはっきりするはずです。