不動産投資で物件を購入した際の帳簿のつけ方:実例に沿って具体的に仕訳を説明します

不動産投資を始める人は多いと思いますが、そのスタート地点は物件購入です。

物件を選ぶ時は楽しいですが、物件購入後に待っているのが記帳…。

賃貸経営をしていると帳簿を付けることはある意味ルーチン作業ですが、売買にまつわる帳簿のつけ方は最もハードルが高い作業となります。

しのっぴ大家も最初は良く分からず、調べたり国税局電話相談センターに聞いたり色々大変でした。

今回はしのっぴ大家が物件を購入した際の仕訳を例に、具体的な帳簿のつけ方を説明していきます。

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物件購入に関わる諸費用と総額について

帳簿を付けるにあたり、まずはすべてのお金の流れをはっきりさせましょう。

しのっぴ大家は6500万円弱で2棟目の物件を購入しました。その際の不動産屋さんの仲介手数料や登記費用、その他、諸々の費用をまとめたものが次の表になります(細かい数字は丸めてあります)。

物件購入に関する費用をまとめた表

物件購入費用以外に約500万円ほどかかっており、総額7000万円です。

これを自己資金1500万円、借入金5500万円として具体的な仕訳をしていきます。

経費になるもの・物件費用に含めるもの

物件購入には色々な費用(仲介手数料や登記費用など)が掛かりますが、すべては経費になりません。

実はここが一番のポイントで、初めて物件を購入する場合には最も分かり難い点でもあります。

上記の表の費用のうち、何が経費で何が物件費用に含めるものなのか?を次の表にまとめました。

物件購入に関する費用の仕訳をまとめた表

物件を購入する場合、仲介手数料は物件の取得費用に含まれます。一方、物件を売る場合には仲介手数料は経費となるので注意が必要です。

また、固定資産税の清算(固定資産税を日割り計算し、売主への支払)も物件取得費用に算入します。

しのっぴ大家は最初「租税公課では?」と思ったのですが、売主さんが既に固定資産税を支払っているため、買主さんが支払うのは「固定資産税の清算金」となります。このため、租税公課ではなく、物件の費用の一部となります。

注意すべき点は以上となり、残りの支払は経費か前払金となります。

次は具体的な帳簿のつけ方について、物件購入の時系列に即して説明してきます。

手付金の支払い

物件の購入で最初にやってくる支払いが契約時の手付金の支払いです。

手付金は支払い金額の一部なので、「前払金」で処理します。

例えば、手付金300万円を預貯金で支払ったとすると、次の仕訳となります。

手付金の仕訳を記した表

契約時に必要な印紙代の支払

次は契約時に必要な印紙代の支払です。

ここでは現金で支払った場合の仕訳を以下に示しますが、借方は租税公課で経費となります。

印紙代の仕訳を記した表

物件購入費の支払い

物件の売買契約が終わりローンの金消契約が終わると、いよいよ物件の引き渡しです。

ここでは色々な支払いがいっぺんに進みますが、一つづづ仕訳けした方が混乱しません。このため、まずは物件購入の仕訳を示します。

物件購入の仕訳を記した表

物件額は6500万円ですが、これに不動産屋さんへの仲介手数料と固定資産税の清算金を合わせた6750万円が物件の購入費用となります(上記に説明した通りです)。

また、ローン(借入金)が5500万円、残りを自己資金(預貯金)で賄いますが、手付金(300万円)を支払っているために貸方は上記の通りとなります。

次に借方ですが、固定資産税評価額書に記載の評価額を合算し、土地と建物の割合を求めたところ土地70%、建物30%でした。

このため、6750万円×70%=4725万円が土地、2025万円が建物となります。

この額を基に固定資産として登録し、建物については減価償却をしてきます。固定資産登録についてはこちらの記事を参照して下さい。

振込手数料の支払い

物件引き渡し時に発生するのが振込手数料です。

買主→売主への支払や、不動産屋さんへの支払のために発生します。

これらは、物件の引き渡し時に良く分からないうちに処理されてしまうので、あとで振込手数料がいくらかかったのか?きちんと確認してから記帳しましょう。

今回は、振込手数料10万円を普通預金から支払った仕訳を以下に示します。

振込手数料の仕訳を記した表

登記費用の支払い

物件の支払が確認されると、司法書士さんが所有権移転のための登記を行います。

登記のための費用明細を確認すると、司法書士さんへの報酬と登録免許税が記載されているはずです。

このうち、司法書士さんへの報酬は支払手数料や支払報酬、登録免許税は租税公課となります。

登記費用の仕訳を記した表

火災保険料の支払い

次に、火災保険の支払について説明します。

火災保険は大抵の場合、ローンと同期間の保証期間が設定されます。今回は例えば20年で80万円を普通預金から支払った場合の仕訳を以下に示します。

火災保険料の仕訳を記した表

火災保険料は20年分なので前払金として処理し、当年分を損害保険料とし経費計上します。

1年分の保険料は80万円÷20年=4万円ですので、4万円を損害保険料。残りの76万円を前払金となります。

翌年以降は貸方:前払金4万円、借方:損害保険料4万円として処理します。

家賃と敷金の清算

最後は家賃と敷金の清算です。

中古物件の場合、所有権移転時に敷金も継承します。また、家賃は日割り計算で売主さんから支払われることになるので、以下のように処理します。

家賃と敷金精算の仕訳を記した表

まとめ

今回は具体的な取引を例に、物件購入時の仕訳の仕方を説明しました。

賃貸経営で最もハードルが高い物件購入時の仕訳を、賃貸経営を始めてやる人が行わなければならないので、参考にしていただければと思います。

最後に、賃貸経営を行うと必ず帳簿を付けるようになります。エクセル等で帳簿を付けることも可能ですが、正直、少々手間です…。

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